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Beauty Source キレイの魔法

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恋愛セミナー61【早蕨】

第四十八帖  <早蕨 さわらび>  あらすじ

中の姫はどうして大姫に死に遅れてしまったのだろうと悲嘆に暮れる毎日です。
年が明けても、薫の大姫への気持ちが変わらないことを聞き、二人の恋が本物であったと思う中の姫。
それでも京の匂宮のもとへ行く日が刻々と近づいています。

薫はやるせないままに、匂宮のもとを訪ねます。
夕暮れ時に、匂宮は琴を弾きながらお好みの梅香を燻らせていました。
しみじみとした話を交わしながら、匂宮は宇治の様子を聞き、薫は大姫との思い出を語ります。
薫が話した、親しいながらも清らかなままで終わったという大姫との関係を
「そうは言ってもまだ何かあるでしょう。」と信じられない匂宮。
自らの浮気な性分に照らし合わせて言う匂宮ですが、その分情が深く、心が明るくなるように
気持ちを引き立てようとするので、薫は少し楽になったように感じるのでした。

匂宮が中の姫を京へ移す計画を聞き、薫は喜びます。
大姫が自分の代わりに中の姫を托したこともほのかに話しますが、衣を隔てたとはいえ
一夜を共にしたことは言えません。
京へ上るための準備も、薫は親身に行なっています。

大姫の喪が明けたので、薫は中の姫に華やかな衣と共に歌を贈ります。
「霞みがたちこめたような喪服を花のような衣にお召し替えする時がもうやってきたのですね。」
二月に京へ出発する前日、薫が宇治へやってきました。
「これからはお近くにお住まいになるのですから、何かありましたらいつでもお話ください。」と薫。
「宇治に留まりたい思いが強いので、そう言われましても。」と寂しげな中の姫。
大姫の雰囲気に重なるようで、薫はあきらめられない気持ちですが、色にも出さないようにしています。
あの弁の君は出家して宇治に残ることになり、薫は感謝してねぎらうのでした。

大姫付きだった女房達がいそいそとしているのを見て、人の変わり身の早さを厭う中の姫。
当日、夕方になって宇治を発った一行は、急ぎ京を目指します。
長く急な山道を見た中の姫は、匂宮が宇治へ通うことがやはり困難だったのだと理解するのでした。
二条院についた中の姫を、車まで近づいて抱き下ろす匂宮。
贅を尽くした住まいに迎えられた中の姫の扱いに、世間の人は驚嘆しています。

薫は中の姫が丁重に扱われているという世間の評判を嬉しく思いつつ、
「本当に深い関係になってはいなくても、一晩一緒に過ごしたというのに。」とやりきれない気持ちです。

夕霧は六の姫を二月に匂宮に嫁がせるつもりでしたが、違う人が二条院に入ったことで気分を害しています。
六の姫の裳着の式の準備は整っていたので二十日頃に行いましたが、
匂宮の代わりに薫に六の姫を嫁がせようかと打診する夕霧。
「深く思っていた方を失ったばかりで、結婚などとても。」と人づてに伝える薫。
夕霧はすっかり頭を抱えてしまいます。

桜が咲き、薫は宇治を思い、二条院を訪ねます。
匂宮と寄り添って暮らしている中の姫の幸せな暮らしぶりを嬉しく思いながらも妬ましい様な思いがする薫。
女房達は薫のこれまでの厚情に感謝して直接言葉をかけるよう中の姫にいいます。
匂宮もよそよそしくなく扱うようすすめる一方、
「本音ではどう思っておられるかわかりませんけれど。」とも言うので、中の姫は困惑してしまいます。
「薫の君のことを、私もお姉様の代わりとして有り難く感じているのをうまくお伝えできれば。」と思う中の姫。
匂宮は薫との関係を疑っているので、中の姫はいたたまれない思いがするのでした。

恋愛セミナー61

1 匂宮と中の姫  晴れて同居
2 薫と中の姫    芽生える思い。

中の姫の運勢が開けはじめました。
宇治で寂しく暮らしていた、落ちぶれた宮家の姫が、今をときめく薫の後見で
帝にもっとも可愛がられている匂宮の豪華な屋敷に迎えられる。
まさにシンデレラ物語です。

女房たちは、はしゃいでいますが、中の姫は早くも大姫の喪が明け、喪服を脱がねば
ならないことや、人の心の移り変わりを嘆いています。
唯一わかってくれるのが薫。
薫がいつまでも姉を忘れなれない様子なのに親しみを感じ、
懇切丁寧に世話をしてくれることにも、親代わりを務めてくれた姉の姿を思い出す中の姫。
薫を通して姉の姿を見る思いです。

薫は大姫を忘れられないながら、中の姫の匂宮に対する立場が揺るぎないものになると惜しくなっています。
大姫が中の姫を身代わりにしたいとの望みを諦めさせるために、自ら匂宮を宇治へいざなった薫。
まさか自分の企みがこんな裏目にでるとは思いもよらなかったでしょう。

匂宮の考え方も、面白いものがあります。
薫が大姫と一夜を共にしてなにもないなど信じられない。
中の姫とも何かあったと疑っている。
それでも中の姫を京へ迎えることを躊躇しない上、薫と会うことも許しています。

匂宮は、薫が今まで宇治にどれだけ通いつめ、足がかりをつくり、世話をしてきたかを
知っていますし、中の姫に引き合わせてくれた恩義もある。
さらに匂宮の薫への屈託のない感情と、恋に対する生来の鷹揚さが
中の姫への薫の思いを認めているのかもしれません。

ほんの少し顔を出した夕霧とその掌中の珠・六の姫。
彼女はどこにおさまるのでしょうか。


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